第1章 かそけきものたち

それは、遠い遠いとても未来のお話。
上も下も、左も右もない、 まぶしくも、真っ暗闇でもないところに、 ひとふきの風がふいっと吹いた。
その風はやがてひとつの小さな星をつくり 長い年月をかけて、大草原がひろがった。
今日はその海の奥深くのモノガタリ・・・・

海の奥深く・・・・
ひとすじのアブクがあがってる。
それはまるで
ダンスしているようで・・・
そして、ある瞬間、
プチッとはじけて命が生まれた。
そして、やがて潮が満ち、
彼らは言葉を つむぎ始める。

恋をする。
たくさんたくさん恋をした。
そして、たくさん失恋し、その度に大粒の涙を流したんだ。
泣いた涙はアワとなって、
また新しいカソケキモノタチが生まれた。

本を読んだ。
たくさんたくさん本を読んだ。
そして、隣の世界や、海の上の生活のことを勉強した。

ある日僕は、
陸に上がってみようとする。
何か変わらなきゃ・・・と思った。
でもすごく僕の目にはまぶしくて、苦しくて、生まれた海に戻ったんだ。

子供をたくさん生んだ。
たくさんたくさん生んだ。
そしてみんなで手をつないだ。
そう、もう一度
陸にあがるために・・・
ヒカリを
見失わないように・・・

僕たちは陸にあがろうとした。
つぎの波・・・
つぎの波でいくんだ。
ボクたちはぎゅっとかたまって
1つになった。
それはまるで、種子のようだった。

うまく波にのったボクたちは、
海岸すぐそばの
土の上に降り立った。
そしてもう前のように
苦しくはなかった。
そして、みんなで目をつぶった。